《1》 用意するもの
下の写真右から、ハンダゴテ、液体フラックス、フラックス用筆、ペーストフラックス、ハンダ(棒)、
ピンセットです。
ハンダゴテは、ニクロム線タイプですと、100Wと80Wが普通です。
初心者も最初から100W(写真)を使っても大丈夫だと思います。
最近はセラミックヒーターのコテが多く出回っていますが、この場合、ワット数が小さくても温度が早く高くなるので、
「ニクロム線100W相当品」などの記述を参考に購入してください。
フラックスは液体とペーストがあり、両方使います。
コパーテープとその周辺のガラスに塗布して、ハンダがのりやすくするものです。
フラックス用の筆は、液体フラックスには柔らかい水彩画用、ペーストフラックスには硬めの油絵用が適しています。
ハンダ棒は直径3mm×長さ40cm程度のステンドグラス用を用います。
ハンダは錫と鉛の合金ですが、6:4の比率のものを買ってください。5:5は融けにくいです。
ピンセットは短くなったハンダを摘むとき使います。
写真のように、組み立て用型紙の上に、テープを巻き終わったピースを並べておきます。
まず型紙の外周線に、ピースの外周を合わせます。
その後、ピース間の隙間を均等にするように位置を微調整すると、完成時に形が崩れません。
《2》 点止め
ハンダ作業に入る前に、必ず安全メガネを装着してください。
ハンダはかなり高い頻度ではじけ飛び、危険です。
まず「点止め(仮止めとも言います)」です。ハンダはガラスには付かず、コパーテープにしか付きません。
最初にガラスピースの角が集まった交差点部分に、点のようにハンダを付けていきます。
これは、全体がずれないようにする仮止めです。
ハンダゴテをコンセントに差込むと、3〜5分ほどで最高温度になります。
点止めでは、液体フラックスを用います。
ペーストだと、塗布する時、ピースの位置をずらしてしまう恐れがあるからです。
各交差点のテープ部分に、筆で液体フラックスを少し塗ります。
そして、熱したコテ先にハンダ棒を軽く押し当て、コテ先に水の滴のようにハンダをぶら下げます。
このハンダの雫を、落とさないように交差点に軽く押し当てます。
ハンダが、交差点の隙間に染み込めばOKです。
この時、コテ先でガラスを動かさないように注意してください。
全ての交差点に点止めすると、ピースがずれなくなります。
筆やハンダコテは、上下にだけ動かし、左右には動かしません。
動画(1分21秒)
《3》 外周部のハンダメッキ
作品の外周には、最終的には仕上げ部材として、レッドケイムが付きます。
このレッドケイムとハンダが干渉しないように、外周に近い部分1cmほどには、極薄くハンダを盛ります。
銀色が付けばいいといったイメージです。
これをハンダメッキと言います。
外周部の仕上げ工程
このハンダメッキ以降の工程では、ペーストフラックスを用います。
ペーストは、液体に比べて、人体への害が少なく、またハンダが錆びる危険性も低いです。
コパーテープに筆でペーストを塗り、次に微量のハンダをコテ先に着けて、薄く延ばす要領でハンダメッキします。
動画(1分31秒)
《4》 本ハンダ
本ハンダ(仕上げハンダ)に入ります。本ハンダは、ハンダでコパーテープを完全に覆いつくし、且つこんもり盛り上げます。
薄いと見た目が貧相なだけでなく、強度的にも弱くなります。
まず、テープ表面とその周囲1cmくらいのガラスにも、ペーストフラックスを塗ります。
一度に全体に塗っても良いですし、1回のハンダ付けの面積までにしておいても結構です。
次に、コテ先にハンダを融かし付けて、そのハンダをテープ上に「置いていく」ような要領で、ハンダを盛って行きます。
ハンダは数秒で固まりますが、コテを押し当てるとまた融けますので、納得いかない部分は、何度でもやり直せます。
ただし、加熱回数が多いとハンダは劣化して汚い仕上がりになりますので、数回の加熱までに留めて置いてください。
美しいハンダは、@断面がこんもりと蒲鉾型に盛り上がっている、Aシワやピンホール(小さな穴)がなく、
Bガラスの角部にかぶさっていないものです。
Bの防止のためにも、角や交差点には盛り過ぎないよう注意してください。
もしコテ先が汚れたら、水をしみこませたスポンジにコテ先をこすり付けて、時々クリーニングして下さい。

醜いハンダと美しいハンダ

ペーストの塗布 本ハンダ作業

拡大図 表面の本ハンダ終了
動画(1分50秒)
《5》 裏の本ハンダ
表面の本ハンダが終了したら、裏返して裏も同様に本ハンダします。
ここでの注意点は、裏面では、長々とハンダゴテを押し当てないということです。
熱が表面に伝わってしまうと、折角仕上がった表面が融けて流れてしまうからです。
裏は、手早くが基本です。

裏の本ハンダ前 裏の本ハンダ終了後
ただし、表面が流れてハンダのコブが出来てしまっても、もう一度表面から修正出来ます。

表に流れ出たハンダのコブ
再加熱で修正