ステップD3. デザイン講座(立体編)

 《1》 題材を決める
 私の場合、作品をデザインするに当たって、まず本物を見てデッサンすることから始めます。 もともと画家志望だったこともあるのですが、デザインの時間が最も楽しいので、題材集めも含めて時間を掛けます。 とはいえ、絵が苦手と言う方もいらっしゃるでしょうから、最低限のデザイン手法をご紹介します。
 今回は、草花(クローバー、アカツメクサ、オオタビラコ)の花を摘んできて、工房でスケッチしました。 最終的には、クローバーのみを題材とし、三つ葉と白い花で画面をうめて、ほぼ緑一色にすることにしました。
 ランプの場合、曲面を細かく刻んだガラス片で覆うという性格上、大きなガラスピースを使うことが出来ません。 その結果、あまり写実的なデザインにできないなどの制約が出ます。今回も、本物のクローバーを前にして、絵を描くと言うより 実際の葉の形や花の形を観察すると言った意味合いのデッサンになりました。
 皆さんは、クローバーの葉の形を思い浮かべるとき、ハート型を思い浮かべるのではないでしょうか。 ですが、実際の葉は、卵形に小さな切込みが入る程度です。ハート型の三つ葉は、実はカタバミという植物です。 このようなことに注意して、クローバーの特徴を、画用紙に描いておきます。
題材クローバーのデッサン
 《2》 デザインの連続性
 シェード全体は、同じデザインが3回繰り返して一周となります。理由は、デザインの手間を省くためと、同一パターンの繰り返しによる 装飾性を出したいがためです。従って、前章で用意した1/3面積の型紙を用います。 ただ、必ずしも繰り返し方式にしないといけないと言うわけでは有りません。
 同一デザインを繰り返す都合上、扇形の両辺は模様が上手に繋がらなくてはなりません。 型紙を一旦円錐状に丸めてこれをつぶし、合わせ目の絵柄を連続させます。
型紙を円錐状に丸めてつぶします 左右の合わせ目の絵柄を連続させます
 《3》 デザインのポイント
 デザインをする上で、やはり「面白い構図」ということが大切だと思います。面白いとは、趣があるとも言いかえられます。 ただ絵が上手であるとか、凝っているというだけでは、芸術性は生まれません。
 今回は、Cコースで追求した「絵画性」とは対照的に、絵柄としての装飾的美しさを強調したいと思います。 ポイントとしては、おおむね以下の通りです。
 @ クローバーの葉の形など細部は本物に忠実に(写実的に)、しかし全体の配置は人為的(計画的)に。
 A 三つ葉のシンメトリー(対称性)と、リズミカルな配置を心がける。
 B 基調色を決めて、あまり多くの色を用いない。
 上記はあくまで、ご参考と言うことです。カラフルなデザインが好きという方は、そのようにしてください。 私は、地味目の配色が好きなので、グリーン基調で白い花をところどころに配します。
 また、ティファニーランプの多くに用いられている縁飾り=ボーダーを付けたいと思います。 これは、外周部の強度アップと、縁の半田処理の簡便化などの意味も有ります。 今回は、幅1cm×長さ3cmの長方形をぐるりと1列並べます。 このボーダーを固定するときには、下図右の断面図からわかるように、少し下向きの角度をつけます。
クローバーのデザイン画 ステンドグラスシェード断面図
 《4》 曲面にするための考慮
 シェードの曲面を、平板である板ガラスのピースで覆う都合上、各ピースには大きさの制限があります。 一つ一つのピースが小さければ小さいほど、滑らかな曲面になります。 円錐の場合、上部と下部では、その制限値が異なります。 下図からわかるように、裾の直径30cmのシェードでは、おおむね下端では4cm、上端では約1cmが幅の最大値となります。 例えば上から2個目の葉は、赤い斜線部分が目安の縦線からはみ出していますから、大きすぎといえます。
 上端部では、ピースを大きく出来ないので、デザイン上の工夫で、小さな葉や芽を配したり、 一つのピースをあえて2つに割るなどします。 ただしこの幅の上限値は、あくまで目安です。
曲面にするための考慮
 《5》 色の決定
 このランプシェードで使用するガラスは4種類とします。 電球を光源とするランプですので、基本はオパールセントガラスという、半透明ガラスを用います。 しかし、今回はオパールセントと、トランスペアレント(透明)の両者を使いたいと思います。
 まず目立たせたい葉、花、ボーダーはオパールセントガラスを用います。 このガラスは、点光源であっても、光を面全体で柔らかく発光させる作用が有ります。
 逆に目立たなくても良い背景色のピースにはトランスペアレントを用いてみます。 このガラスは、点光源の光をそのまま通過させるのに、実際の見た目は暗く見えます。
 ちなみに、背景に黄色のオパールセントを持ってきてもきれいだと思います。
記号場所ガラスの種類と色メーカーと型番必要面積
オパールセントの緑(濃淡の流れ模様) ウロボロス、UR60-7738×30cm
オパールセントのブルーグレー、
見た目は青みがかった白
ブルズザイ、BU621815×15cm
背景トランスペアレントのライムグリーン、
平行線(ヘアーライン)が入ったフィブロイド
ウロボロス、UR70-703
(メーカー廃番)
30×21cm
ボーダーオパールセントのオリーブグリーン、
輪模様が入ったリングモトル
ブルズアイ、BU601710×12cm
使用するガラス1 使用するガラス2
 《6》 同心円の描きこみ
 背景の柄のガラスCにはヘアライン(細かい平行線)模様が入ったフィブロイドガラスを使います。 このラインの向きをどう扱うか、悩むところです。ランダムと言うのはあまり良い選択では有りません。 一番無難なのは、シェードを上から見たとき、同心円を描くように全てのヘアラインを横向きに揃える方法です。 その場合、後にばらばらにした型紙から同心円方向を知ることは難しいので、あらかじめコンパスなどを使い、各ピースに、 ヘアラインの方向を示す平行線(縞模様)を描いておきます。そして、この平行線を頼りに、次の章でガラス上に型紙を置き、ケガキます。
同心円を描くヘアラインの向き フィブロイド上へのケガキ
 《7》 型紙の制作
 デザイン画を描きこんだ最終的な型紙として、原紙のコピーを4枚取ります。うち3枚は、モールドに貼り付けて半田付け(組立て)に用います。 残り1枚は、ピースに切り分けれガラスカットに用います。
 ガラスカット用型紙は、左右の縁でデザインの切れているところは、どちらかの縁に逆サイドのデザインを写し取って、 ピースとして完成させておいてください(折り曲げて透かして写すとやりやすいです)。
最終版の型紙

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