《1》 隣接ピースの一括整形
ガラスカットの後には、軽くルーターを掛けて、ピースの尖ったところを丸く研磨します。
ガラスカットが正確に行われていれば、この研磨は、一瞬で終わります。
私は、500ピースくらいの作品なら、カットは2日、研磨は1日で終わります。
ここでは、隣接する同一種のガラス数ピースを一塊として扱って整形してみます。
まずルーター作業で、最も重要なことは、研磨後のピースは、絶対に型紙よりはみ出してはいけない、とうことです。
角が一箇所、それもほんの一部出てもいけません。
理由は簡単で、はみ出しを許したら、最終的な作品が目標(外形)寸法より膨らんでしまう危険性があるからです。
私どもプロにとって外形寸法は、自分以外の業社、例えば大工さんや建具屋さんに影響する大切なスペックで、
ステンド受注時の契約条項でもあります。
これが小さくなる分にはまだいいですが、膨らんだ場合、最悪、窓枠に嵌らないという保障問題になりかねません。
まあ、上記は多少大げさですが、しかし常日頃「大きくならないよう注意する」という習慣を付けていて、損はありません。
ルーターを一通り掛けた後、ピースを型紙の上に載せて、型紙の内側に収まっていることが確認できれば、そのピースは整形完了です。
もし、一部はみ出すようであれば、その部分だけ再度ルーターをかけます。
本題の一括整形ですが、この内側に入っていることを確認する段階で、複数のピースをぴったり寄せた状態で、型紙上にのせます。
そして、全体として型紙の中に納まっていればOKです。そのために、型紙は境界線で切らずにおいたのです。
《2》 実際の研磨
濃いグレーのガラスでできた1枚の葉を例にとって説明します。1枚の葉は、葉脈を境に4ピースに分割されています。
まず、おのおののピースをルーターで研磨します。要領としては、ぐるっと一周、縁をなめるように研磨します。
研磨が終わったら、一旦水洗いし、タオルで水気を取ります。そして、4枚すべて寄せ集めながら、型紙の上に載せます。

この一塊が、型紙からはみ出していないことを目視で確認します。ガラスの周囲を見渡して、
全周にわたって型紙の縁が覗いて見えればOKです。もしガラスがはみ出していたら、指先やピンセットなどでゆっくり押し込んでみます。
これで収まればいいですが、別の場所が押し出されるようであれば、再研磨が必要です。この研磨する場所を見極めるにはコツがあります。
それは周囲を数箇所突っついてみて、一番出っ張りシロが小さいところを見つけ、そこだけ削り取ります。
さて、ピースは型紙の内側に入っていればOKですが、厳密に言うとコパーテープを巻くと少し太るので、
一回り(0.3mm)ほど型紙より小くするのが良いです。