正方形のステンドグラス「水玉」仕上げ段階

40cmx40cmは比較的小さな作品の上、最近暇で制作に気合が入っていたので、あっという間に仕上げ段階です。

各ピースが小さいので、銅テープは幅の狭いものを選んでいます。

切り終わったピースに銅テープを巻いています。

切り終わったピースに銅テープを巻いています。

銅テープを巻き終えたピース。ティーグリーンの渋いアンティークガラス

銅テープを巻き終えたピース。ティーグリーンの渋いアンティークガラス

ガラスの多くがドイツはランバーツ社のアンティークガラスです。アンティークと言ってもアンティーク技法(宙吹き)で作った新しいガラスです。上の写真はコロナ禍前に仕入れておいた貴重な在庫。

ハンダ作業直前

ハンダ作業直前

全ピースを台紙に並べてこれからハンダ作業です。これが始まれば、その日のうちに完成です。

正方形のステンドグラス「水玉」制作開始

40cmx40cmの正方形のステンドグラスを作り始めました。お客様は洗面所の壁にはめるそうです。デザインは印象的な抽象画です。中央に大きな水滴(のようなもの)があるのが特徴でしょうか。

型紙と黄色のガラス

型紙と黄色のガラス

今回はとにかく色数が多いです。10種類近いガラスをこの画面に散りばめます。

オレンジのガラスと型紙

オレンジのガラスと型紙

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」縁描き中です

無鉛ステンドグラス(フュージング画)は文字通り鉛などの金属を使いませんので、ガラスの繋目が無い単板です。一方、伝統的なステンドグラスは、色の境目で鉛の繋目がありますが、ガラスピース1片1片は大柄で、内部に絵付けがなされています。多くが、キリスト教上の出来事が描かれています。

今回の無鉛ステンドグラスも絵付けがされます。伝統的な線描き用の黒い顔料=グリザイユを用います。細筆にこのグリザイユを水で溶いたものを浸して、花や葉の縁取りをしていきます。

ライトボックスにガラスを置いて、細筆を使って縁取りを描きます

この縁取りを定着させるために、電気窯で600℃以上に加熱して、焼成します。

焼成前の窯の中

焼成前の窯の中

縁取りが終わると、陰影付けです。これはやってもやらなくても良いのですが、陰の部分に淡くグリザイユウをつけることで、絵柄が立体的になります。これをやり過ぎると、逆にリアリティーが増して象徴絵画的な魅力が後退するので、そこそこにしておきます。

陰影付をする上で重要な「グリザイユの部分剥がし」

陰影付をする上で重要な「グリザイユの部分剥がし」作業

この陰影も焼き付けます。これが終わると完成です。

陰影の焼成前

陰影の焼成前。焼成は窯のサイズの制約で2枚ずつですが、実際は4枚全部に施しています。

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」ガラスフリットを載せています(2)

無鉛ステンドグラス(フュージング画)は4枚一組の作品で、雲仙市小浜温泉の旅館に収められる予定です。

直径30cmの作品が2枚あり、そのうち1枚は「ミヤマキリシマ」というツツジの仲間がモチーフになっています。この花は、雲仙市の花に指定されています。

ミヤマキリシマの制作。直径30cmのベースガラス上にガラスフリットをおいたところです。

ガラスフリットは、焼成される前は色が淡いです。赤い花もなんとなくぼやけています。

ハマユウの制作

ハマユウの制作。ハマユウはヒガンバナ科の白い花で、文字通り海沿いで咲きます、

一方、先行しているジャカランダとサザンカは、3回目のフリット乗せが完了し、焼成間近です。

ライトボックスの上で、3回目のフリット乗せ。

ライトボックスの上で、3回目のフリット乗せ。だいぶ濃くなってきました。

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」ガラスフリットを載せています(1)

無鉛ステンドグラス=フュージング画の制作方法は、素材の形態の違いにより2種類あります。ガラスの粉やザラメ状の粒子で絵柄を描くフリット技法と、薄板を切って乗せる薄板技法です。今回はより幻想的でなめらかなグラデーションが付けられるフリット技法で制作しています。

30cm角の作品は2個です。1個目は、雲仙市小浜温泉街の至る所で見られるジャカランダです。私も制作に当たって色々調べたのですが、ジャカランダは中南米原産のノウゼンカズラ科で、青紫の花を大量につける世界三大花木の一つだそうです。6月に花の最盛期を迎えるそうで、温泉街の名物だそうです。

ジャンカラダのフュージング画制作風景

ジャンカラダのフュージング画制作風景

ガラスフリットはザラメほどの粒度のものを使いました。カットしたベースガラスの上に下絵に合わせて、フリットの置いていきます。輪郭を正確にくっきりだすというよりは、少し広がったように分布させて、幻想的な雰囲気を出そうと思っています。ガラスフリットは40色ほど揃えていますが、花の部分だけでも4色を混色しています。

2作品目は冬を代表するサザンカです。これは、赤系のガラスフリットで花を、濃い緑で葉を描いています。

サザンカのフュージング画の制作風景

サザンカのフュージング画の制作風景

赤いガラスは、焼成前は色が薄いので、どの程度乗せるとどの程度の濃さになるかは経験に基づいて加減します。最も、このフリットを載せて焼成する工程は4回以上繰り返すので、1回では完成形にはなりません。

フリットの焼成は電気釜でまる1日

フリットの焼成は電気釜でまる1日

電気釜で焼成すると、ベースガラスにフリットが融け込んで一体化します。焼成作業は電気窯がまる1日かけて勝手にやってくれます。

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」制作開始

長崎市雲仙市にある旅館に設置される作品を制作しています。今回は温泉の浴室に取り付けられるということですので、鉛合金を使わない「無鉛ステンドグラス=フュージング画」でお作りすることを提案しました。湿気やイオンを含む雰囲気では鉛合金は腐食しやすいので、ステンドグラス設置は注意が必要です。

デザインは雲仙市ゆかりの四季の花です。

「雲仙の四季」原画

「雲仙の四季」原画

原画は水墨画で描いていますが、実際の作品はカラフルな原色になります。題材はミヤマキリシマ、ジャカランダ、ハマユウ、山茶花です。大きさは30cm四方の正方形と、直径30cmの円形です。

厚さ4mmのベースガラスをカット

厚さ4mmのベースガラスをカット

最初の作業は、ベースになる厚さ4mmの透明ガラスのカットです。このガラスの上に、カラフルなガラスフリット(ガラス粒)をのせて焼成していきます。

その前段階で、白のガラスパウダーを薄くのせて焼成しておきます。これによって後の絵が引き立ちます。

電気窯で、白いガラスパウダーを焼成

電気窯で、白いガラスパウダーを焼成

オーダーメイドステンドグラス「受胎告知」はオパック処理中

「受胎告知」のステンドグラスでは、マリア様と天使が一応実態のあるモチーフとなり、その他が光や雲で、実態のないものになります。実態のあるものにはガラスの裏面にオパック処理を施し、見た目に浮き出てくるようにします。

マリア様の体のピースはオパック処理をします

オパック処理は半透明処理で、顔料を窯で焼き付けます。

電気釜で焼成します

電気釜で焼成します

カットしたピースにオパック処理を施した後、黒グリザイユで表からシェード処理をします。これは陰影で立体感を出すものです。多くのステンドグラスではこの処理をしませんが、このシリーズでは陰影を付けているので、同様に施しました。

焼成の終わったピースにはコパーテープを巻いていきます。

縁にぐるりとコパーテープを巻いたピースたち

縁にぐるりとコパーテープを巻いたピースたち

オーダーメイドステンドグラス「受胎告知」製作開始

中版のステンドグラスパネル「受胎告知」の制作に入っています。大きさは横45cmx縦70cmです。嬉しいリピーターさんです。以前もキリスト教に関係するパネルを2作品作らせていただき、今回は3作めです。2017年にイタリアに行ったときに実際に目にした宗教画の印象を一生懸命思い出し、原画にしました。

原画(カラー)と実物大型紙

原画(カラー)と実物大型紙

「受胎告知」は、聖母マリアに天使が受胎を伝えに来るという有名な場面です。天使は成人の場合もあれば幼い子供の場合もあります。古い絵では概ね成人ですが、ギリシャ神話のキューピットの影響を受けた絵では、可愛い子どもになっていたりします。受胎の象徴は白百合です。

空色のアンティークガラス

空色のアンティークガラス

ストックしてあるガラスからカットに入っています。ここ2年ほどガラスの入手が困難で、工房のストックが貴重です。

天使の体のパーツ

天使の体のパーツ

しばらくカットが続きます。

ペガサスと少女のステンドグラス:組み立て中

メルヘンチックなステンドグラスパネル「少女とペガサス」はガラス整形が終わり、組立工程に入っています。

まず、各ピースの切断面を包むように銅テープを巻き付けていきます。

ガラスピースに銅テープを巻き付けています

このピースを、組み立て用の台紙の上に並べていきます。この工程はジグソーパズルそのものです。

台紙の上にガラスピースを並べてていきます

台紙の上にガラスピースを並べてていきます

作品の全容が、徐々に明らかになっていきます。ワクワクします。

組み立ては、ハンダを使って銅テープの部分にロウ付けをして進めます。最初に点止めという仮ハンダをして、ピースがズレないようにします。

組み立ての最初はハンダによる点止めです。

組み立ての最初はハンダによる点止めです。

ハンダ付けは、銅テープを巻いてから数日以内に行います

ハンダ付けは、銅テープを巻いてから数日以内に行います

銅テープ巻から、ハンダ付け完了まで数日で終わらせるスピード仕事です。

ステンドグラス「ペガサスと少女」

上は完成写真です。作品の詳しい解説はグラス工房達風のサイトで御覧ください。

 

ペガサスと少女のステンドグラス:研磨中

ほぼ正方形のステンドグラスパネル「少女とペガサス」はガラスカットが終わり、周囲を研磨しています。ルーター(グラインダー)という回転砥石で、切断面をなめらかにします。

「ペガサスと少女」ガラスピースの周囲を研磨中

「ペガサスと少女」ガラスピースの周囲を研磨中

ガラスの切断面をぐるりと研磨すると、程よくザラツイた表面になり、この後の工程(銅テープ巻き)が楽になります。

研磨の終わったピースたち

研磨の終わったピースたち