わるのり猫シリーズの無鉛ステンドグラス(フュージング画)「月夜のジャズ」です。坂道の町で、夜中に野良猫たちがオーケストラの演奏に興じています。
※この作品の詳しい説明は、ステンドグラス工房達風の「作品集ページ」にてご覧ください。
わるのり猫シリーズの無鉛ステンドグラス(フュージング画)「月夜のジャズ」です。坂道の町で、夜中に野良猫たちがオーケストラの演奏に興じています。
※この作品の詳しい説明は、ステンドグラス工房達風の「作品集ページ」にてご覧ください。
茨城県つくば市に鎮座する千勝神社(ちかつじんじゃ)の儀式殿が、今月3日に竣功しました。この儀式殿は別名 山根彦神拝殿といい、山根彦神本殿の正面に造営されました。
この儀式殿の特徴の一つは、神社には珍しいステンドグラスが嵌っていることです。奥の一段高くなった部分を幣殿と言いますが、その天井近くに3枚据え付けてあります。
ステンドグラスと言っても、正確にはフュージング画です。ステンドグラスは、背後に光源が必要で、言葉を変えれば室内が薄暗くないと映えません。ですが、フュージング画の良さは、背後の光源があっても無くても(透過光でも反射光でも)綺麗に見える点にあります。つまり、24時間綺麗に見える点で、この明るい儀式殿にはもってこいです。
12月3日には、竣工奉告祭が厳かに催行されました。3枚のフュージング画のデザインは、御祭神の御神徳を象徴的に表しています。詳述は避けますが、是非、ご覧になって何かを感じて頂けるとありがたいです。
今年平成29年は、千勝神社の山根彦神拝殿および儀式殿の御造営の年でした。3月の着工祭に始まり、12月の竣工奉告祭に至るまで、ほぼ1年建築が進められました。私は、このつくば市にある千勝神社の世話人でもあります。そこで、この儀式殿にふさわしいガラス工芸をと思い、幣殿上部を飾る3枚のフュージング画を制作し、奉納しました。
神社にステンドグラス(正確にはフュージング画ですが)は、珍しいと思います。最大の理由は、簡素な神社建築に派手派手しいステンドグラスが似合わないからでしょう。そこで、今回の作品は、簡素にして清潔感あり、また静かな佇まいのデザインにしました。
幅80cm×縦30cmのベースガラス上に、ガラスフリット(ザラメ状のガラス粒)を載せて、焼成していきます。1枚目は緑基調の作品、静まった森林と、二つの光の輪を描きました。
2枚目は、すがすがしい青と高貴な紫を散りばめた作品です。
3枚目は、情熱を感じさせるオレンジ基調の作品です。日本の国土を象徴する赤い富士山と、御祭神の御霊を表す光の輪のシンプルなデザインです。ガラスフリットは、たくさんの色があり、ピンクや黄色など、少しずつ混ぜて、微視的には複雑な色合いを出しました。
焼成は、電気窯で行います。電気が通じているのは7時間ほどですが、余熱が冷めて蓋を開けられるまでになるのに、丸1日かかります。
1枚の作品は、1回焼いて出来上がりではなく、少しずつ様子を見ながらフリットを重ねていきますので、1枚につき10回ほど焼成します。
3枚の色づきや透光度のバランスを見ながら、完成のタイミングを計ります。
完成品も光の透過度や反射、周囲の明暗で、色々な表情になります。それが、フュージング画の面白さだと思います。
フュージング画はステンドグラスと違い、必ずしも背後からの透過光が無くてもきれいです。ですので、夜は夜で、室内の明かりで美しく見ることが出来ます。
真新しい、神社建築はヒノキの良い匂いです。すっきりとした3色のフュージング画もあまり出しゃばることなく据え付けられました。制作期間約2ヶ月、ほっとしました。
実はデザインの期間も、2か月ほどかかりました。その間、イタリアはフィレンツェとローマに行ったりしていたので、「宗教画とはどんなものか」を勉強することが出来ました。もちろん、ヨーロッパのステンドグラスやイコン画の様なこってりした絵をこの神社建築に持ち込むことはできませんが、しかし、絵に込めた信仰心とエスプリは、イタリアで感じ取ることが出来ました。少なからず、参考になりました。