和風ステンドグラス「滝桜」の制作では、現在ガラスピースの研磨をしています

ステンドグラス制作のハイライトと言えばガラスカットですが、それが終わっても、すぐには組み立てに入れません。このコパーテープ技法では、ガラスピースの縁に銅テープを巻きつけます。そして、それに先立って、各ガラスピースの縁を研磨して、滑らかにしておきます。

研磨する工具はルーターと言って、ダイヤモンドの粒子が埋め込まれている砥石を回転させてガラスを削ります。

ルーターと洗浄用の水(右下)、そしてタオルなど

ルーターと洗浄用の水(右下)、そしてタオルなど

研磨方法は、ガラスピースをテーブル上に置いて、断面をビット(ルーターの回転刃)に押し付けます。

研磨の仕方

研磨の仕方

これで、ぐるっと一回り、縁を研磨します。そうすると、切りっぱなしで鋭く尖っていた断面が、きれいに均されて、安全かつ、テープが付きやすくなります。

ピースは、予め型紙より小さく切ってあるのですが、型紙からはみ出した部分が無いか、一応目視確認します

ピースは、予め型紙より小さく切ってあるのですが、型紙からはみ出した部分が無いか、一応目視確認します

研磨が終わったピースです

研磨が終わったピースです

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和風ステンドグラス「滝桜」のガラスカットは大詰めです

和風ステンドグラス「滝桜」で使用する全6種類のガラスは、
1)ピンク(濃)
2)ピンク(淡)
3)グレー(濃)
4)グレー(淡)
5)クリア
6)クリアの縞模様
です。6)以外はドイツ製のアンティークガラス、6)は米国製のフィブロイドというガラスです。

現在ガラスカットは最終段階で、グレーとクリアを切っています。

桜の枝の部分には、濃淡2種類のグレーのガラスを使います

桜の枝の部分には、濃淡2種類のグレーのガラスを使います

切り終わって、次の工程を待つガラスピース

切り終わって、次の工程を待つガラスピース

クリアのガラスは、背景の部分に使います。ステンドグラス用のガラスですので、単なる透明ガラスではなく、よく見ると縞模様と気泡が程よく入っていて、透けて見える景色も歪んで見えます。

アンティーク製法によって作られたクリアガラス

アンティーク製法によって作られたクリアガラス

ガラスカットが終わると、次は研磨です。

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和風ステンドグラス「滝桜」は、ガラスカット段階に入りました

型紙が出来ると、次はガラスカットです。

型紙は、境界線で切り分けます。今回はガラスを6種類使うので、細かくなった紙片を、ガラスごとの6個の箱に仕分けます。

型紙を細かく切り分けます

型紙を細かく切り分けます

最初に、桜の花のピンクガラスをカットすることにします。濃淡を出すために、ピンクのガラスも濃淡2種類使います。

ところで、ステンドグラス用ガラスは、色によって面積単価が異なります。実はこのピンクが最も高価なガラスです。その理由は、ピンクを発色するために、金が融かしこんである為です。ガラスは、金属イオンを融かしこむことで、様々な色を呈します。

ベネチアンガラスでも金赤といって珍重されるこのガラスは、ステンドグラスの世界ではゴールドピンクと言って、1坪(といっても30cm四方ですが)1万円弱します。まあ、今回のガラスはアンティークガラス(手拭き製法の手作り板ガラスです)でもあり、余計高いです。

ゴールドピンクのガラスの上に、型紙を並べて、パターン取りします

高価なゴールドピンクのガラスの上に、型紙を並べて、パターン取りします

濃淡2種類のピンクの上に、型紙の縁線を写し取ります。

濃淡2種類のピンクの上に、型紙の縁線を写し取ります。

ガラスの上に油性マジックで、型紙の外形を写し取ります。そして、この線を頼りにガラスカッターとプライヤーを使ってガラスを割っていきます。

ガラスカットの様子

ガラスカットの様子

ガラスカットと言っても、実は傷を着けて、割っていく作業です。この作業を繰り返して数百個のガラスピースを作っていきます。

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和風ステンドグラスパネル「滝桜」制作開始

福島県三春町の有名な枝垂れ桜「三春滝桜」をイメージしたステンドグラスを作っています。直径60cmの円形です。

原画は例によって水墨画で描きました。この原画から型紙を起こしていきます。

原画の上に方眼紙を置いて、トレース

ライトボックスを使い、水墨画の原画の上に方眼紙を置いて、トレースしています。

ライトボックスの上で、方眼紙に輪郭を写し取り、その後、ガラスが切り易いように修正します。

全体の花と枝、空間のバランスを見るために、色鉛筆で着色をしておきます。

方眼紙の型紙で、仮の色を付けていきます。

方眼紙の型紙で、仮の色を付けていきます。

出来上がった型紙を元に、拡大コピーして実寸型紙を作ります。

実寸型紙(写真左)が出来上がると、次はガラスカットです。

実寸型紙(写真左)が出来上がると、次はガラスカットです。右上は墨画の原画、右下が方眼紙の型紙。

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ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その31)」「仕事と結婚」

今回は、若者にとっての仕事観や結婚観の話です。
「最近の若者は、夢や目標を持っていない。」よく耳にしますが、本当でしょうか。今の若者全てにインタビュウしたわけではないので推測の域は出ませんが、恐らく彼らも子供のころ、野球選手や宇宙飛行士、アイドル歌手になる夢や憧れは持っていたのではないでしょうか。ただ、現実的な彼らは、諦めるのも早い。
自分の(職業としての)やりたい事が見つからない、というのは、本当に若者の「問題点」なのでしょうか。私の拙い民俗学の知識で考察するに、日本民族が職業選択の自由を手に入れたのは、戦後のことで、特に自己の適性を分析し、アピールして就職活動するというのは、ここ数十年のことだと思います。夢を持ちそれを職業として実現するなど、元々日本民族の遺伝子に無い、不慣れな作業なのではないでしょうか。
夢や目標をもって生きることは、有るべき姿だと思います。ただ、情報や知識、経験も乏しい若者が、無理して目標を設定し固執するのは、かえって自己の適性を狭く見積る行為ではないでしょうか。人間の適応能力は大きい。可能性も想像以上に広い。まずは、近くにあるもの、人から奨められるもので手を打ってみては如何でしょう。大学での専攻にもこだわらず、具体的に言えば、家業があれば家業を、人手不足の中小企業が近くにあれば、そこも候補にしてみるといった具合です。続けていれば、与えられた目標がやがて自分の目標になる時が来るでしょう。そして、世の中が見えるようになってから、仕事以外の例えば家庭や趣味、社会貢献などに夢や目標を見出しても悪くはないと思います。
またよく似た現象に、若者の結婚難があると思います。「近頃の若者は、自力で結婚相手すら見つけられないのか。結婚に興味すら無いと言うではないか。嘆かわしい。」という言葉を耳にします。しかしどうでしょう。これまた日本民族に、結婚相手を自力で見つけ、決めるなどと言う風習は有ったのでしょうか。貴兄は、あるいは恋愛結婚だったかもしれません。ですがごく近年まで多くの若者は、お見合いと言う互助システムで救われてきたはずですし、「婚活」はむしろ周囲の人間が行う活動だったはずです。江戸時代までは、村々に若衆(若者組、若連中)といわれる未婚男性の共同体が存在し、先輩の指導の下、ヨバイ(呼ばひ、夜這い)をしたといいます。これも互助システムです。
今日、男性の2割、女性の約1割が生涯未婚で過ごすと言われています。一つの原因は、不景気や低収入の影響でしょう。また、マスコミは、独り身は近年の新しい人生選択だ、と報じています。が、彼らは積極的に「選択」したのでしょうか。若者が結婚に無頓着なのは昔も今も同じだと思います。今の若者は、可愛そうです。お見合いはダサい行為とされ、それでなくても、忙しくて疲れきっているのに、誰も手を貸さない。その結果が、この数字だと私は思います。
そして自戒もこめて、最近一番変わってしまったのは、若者ではなくむしろ、団塊の世代以降のシニアではないでしょうか。「若者の自主性を重んじる」という美名を隠れ蓑に、彼らに無頓着になったと思います。若者のために一肌脱がなければ。

ステンドグラス「祝福」

ステンドグラス「祝福」