k.fukuta の紹介

ステンドグラスとフュージング画の注文制作工房「ステンドグラス工房達風」を主宰する福田勝司です。 写真満載のサイトはhttps://tappu.com

オーダーメイドステンドグラス「受胎告知」製作開始

中版のステンドグラスパネル「受胎告知」の制作に入っています。大きさは横45cmx縦70cmです。嬉しいリピーターさんです。以前もキリスト教に関係するパネルを2作品作らせていただき、今回は3作めです。2017年にイタリアに行ったときに実際に目にした宗教画の印象を一生懸命思い出し、原画にしました。

原画(カラー)と実物大型紙

原画(カラー)と実物大型紙

「受胎告知」は、聖母マリアに天使が受胎を伝えに来るという有名な場面です。天使は成人の場合もあれば幼い子供の場合もあります。古い絵では概ね成人ですが、ギリシャ神話のキューピットの影響を受けた絵では、可愛い子どもになっていたりします。受胎の象徴は白百合です。

空色のアンティークガラス

空色のアンティークガラス

ストックしてあるガラスからカットに入っています。ここ2年ほどガラスの入手が困難で、工房のストックが貴重です。

天使の体のパーツ

天使の体のパーツ

しばらくカットが続きます。

VOXY 70系のフロントバンパー DIYで修理

愛車トヨタVOXY(ボクシー70系)のフロントバンパーを道路の敷石に当てて、割ってしまいました。走行距離20万km、15年のオンボロ車なので、そのままでもいいかなあと思いましたが、ヒマなのでDIYで直すことにしました。総費用4,500円。備忘録を兼ねて修理過程を記します。例よって修理ノウハウはYouTubeで事前に仕入れました。

VOXYのフロントバンパーが一部(フォグランプ近く)が割れてしまっています

VOXYのフロントバンパーが一部(フォグランプ近く)が割れてしまっています

まず、バンパーを外します。固定箇所は大きく分けてボンネット内、タイヤハウス内、底の3箇所です。それぞれ数個ずつの六角ネジ(10番)とスナップピンが使われています。

ボンネットを開けて一番手前にある、バンパーを固定しているネジ

ボンネットを開けて一番手前にある、バンパーを固定しているネジ

ボンネット内中央部のスナップピン。経年劣化が激しく、乱暴に扱うと簡単に折れそう。

ボンネット内中央部のスナップピン。経年劣化が激しく、乱暴に扱うと簡単に折れそう。

タイヤハウス内のネジ(上)とすでに紛失しているスナップピン

タイヤハウス内のネジ(上)とすでに紛失しているスナップピン(下)

バンパー底部のネジ。年をとるとかがんで作業するのが億劫。

バンパー底部のネジ。年をとるとかがんで作業するのが億劫。

バンパーにはフォグランプがついているので、そのワイヤーハーネスのプラグも外します。上1箇所、左右3箇所ずつ外しました。プラグはプラスチック製で経年劣化で破損しやすいので、無理に引っ張らず、どこを押すと爪の引っ掛かりが外れるのかをよく観察して外してください。

フォグランプのプラグの1個

フォグランプのプラグの1個

無事フロントバンパーが外れました

無事フロントバンパーが外れました

外したバンパーは室内に持っていき、補修作業に移ります。バンパーはプラスチック製でとても軽いです。

取り外されたVOXYのフロントバンパーです。

取り外されたVOXYのフロントバンパーです。矢印が破損箇所。マイナスドライバーでこびりついた汚れ(両面テープ跡)を除去し、ベンジンでクリーニングします。

バンパーを裏から見たところ。フォグランプは外しています。

バンパーを裏から見たところ。フォグランプは外しています。

実は、今回割れの補修と同時に、ずっと気になっていた汚れも除去することにしました。それは、以前スポイラー(前のオーナーが付けていた)を外したとき、どうしても取れなくて残っていた両面テープ跡です。この除去に1時間上かかりました。

黒っぽい線状に残っている両面テープ跡

黒っぽい線状に残っている両面テープ跡

バンパーの汚れを雑巾で取り、塗装がのりやすいように300番のサンドペーパーで表面を磨きました。ここから、FRPを使っての破れの補修です。ホームセンター(カインズ)で補修セット「99工房/FRPの大きな穴あき・ヒビ割れを埋める」とスプレー(99工房/ボディーペン・トヨタ用040スーパーホワイトⅡ)とサンドペーパーブロック320番を買ってきました。

今回使った補修セットは99工房の「FRPの大きな穴あき・ヒビ割れを埋める」です。近くのカインズで約3,000円でした。

今回使った補修セットは99工房の「FRPの大きな穴あき・ヒビ割れを埋める」です。近くのカインズで約3,000円でした。(梱包は写っていません)

FRPというガラス繊維を入れた樹脂でバンパーをつなぐのですが、その前に表側から養生テープを貼り、横からは寄木(矢印)とクランプも使い、割れ部分をピッタリ固定しました。

表側から養生テープを貼り、横からは寄木(矢印)とクランプも使い、割れ部分を固定しました。

表側から養生テープを貼り、横からは寄木(矢印)とクランプも使い、割れ部分を固定しました。

この後は補修セットの説明書に従うのですが、ガラスマットの切断→樹脂の調合→樹脂にマットを浸して→バンパー裏側に貼り付ける→2枚目のマットも貼る、という感じです。樹脂は2液硬化型で、エポキシ樹脂のような気がします(説明書には書いていません)。

ガラス繊維のマットを割れの寸法に合わせて切り、2枚用意します。

ガラス繊維のマットを割れの寸法に合わせて切り、2枚用意します。

ガラスマットの寸法の確認

ガラスマットの寸法の確認。ガラスマットは手に刺さるので、手袋必須。

樹脂を調合します。まず主剤70ccを補修セット付属のトレイに入れ。

樹脂を調合します。まず主剤70ccを補修セット付属のトレイに入れ。

硬化剤をスポイトの30滴ほど落とし、よく混ぜる。

硬化剤をスポイトの30滴ほど落とし、よく混ぜる。

調合した樹脂を付属のヘラで亀裂内部と周囲に塗ります。樹脂の硬化速度は思ったより早いので、全作業は5分以内くらいで終わらせてください。

調合した樹脂を付属のヘラで亀裂内部と周囲に塗ります。樹脂の硬化速度は思ったより早いので、全作業は5分以内くらいで終わらせてください。

樹脂のトレイにガラスマットを浸し、十分染み込ませてから...

樹脂のトレイにガラスマットを浸し、十分染み込ませてから...

亀裂を覆うように貼り付けます。

亀裂を覆うように貼り付けます。

2枚重ねで貼り付けた後です。樹脂は透明ですので、塗っていないように見えます。

2枚重ねで貼り付けた後です。樹脂は透明ですので、写真では塗っていないように見えます。

さて、調合して10分ほどで、ヘラですくえないほどに硬化しましたので、ここまで5分以内に手際よくやってください。樹脂の完全硬化時間は室温20度で、1時間程度でした。

次に表から亀裂にパテを充填します。パテもこのセットで作ります。余った同じ樹脂に白いパウダー(成分不明)を混ぜて、パテを作ります。

補修セットの白いパウダーと樹脂の主剤、硬化剤を混ぜてパテを作ります。

補修セットの白いパウダーと樹脂の主剤、硬化剤を混ぜてパテを作ります。パウダーの量が説明書からはいまいち読み取れなかったので適当です。パウダー袋の半分ほどに対し、主剤40cc、硬化剤25滴です。

表からパテを亀裂に充填します。

表からパテを亀裂に充填します。どうしても合わせ目に段差ができてしまうので、周囲にも多めに盛って、あとから削って慣らすことにします。

約1時間後に硬化したら、サンドペーパーで磨き上げます。最初から320番で磨きました。

約1時間後に硬化したら、サンドペーパーで磨き上げます。最初から320番で磨きました。段差も目立たないスロープ状になるように磨きます。

磨き終わり。

磨き終わり。パテは透明なので、この時点では割れは目立っています。

パテ詰めが終わったら、屋外に持ち出して塗装です。スプレーは99工房のボディーペン・トヨタ用040スーパーホワイトⅡです。VOXY用と書いてあったので買ってきましたが、結果的にうちのVOXYとは少し異なる鮮やかなホワイトでした。うちのはオフホワイトぽかったことが塗装後に判明しました。

スプレーペイントでバンパーを塗装します。コツとしてはいっぺんに厚塗しようとしないで、10回重ね塗りして仕上げるくらいちょっとずつ塗ります。

スプレーペイントでバンパーを塗装します。コツとしてはいっぺんに厚塗しようとしないで、10回重ね塗りして仕上げるくらいちょっとずつ塗ります。

両面テープを剥がしたあとの部分も、サンドペーパーを掛けたので、塗装します。

両面テープを剥がしたあとの部分も、サンドペーパーを掛けたので、塗装します。

割れ部分(フォグランプ孔の下)の塗装完了

割れ部分(フォグランプ孔の下)の塗装完了

外してあったフォグランプとグリルをバンパーに取り付けます。

外してあったフォグランプとグリルをバンパーに

バンパーを車体に取り付けては無事作業終了。

バンパーを車体に取り付けては無事作業終了。

前作業は6時間でした。楽しかった。

 

 

 

 

展覧会向けフュージング画大詰め

2023年度のうしく現代美術展にはフュージング画1枚を出品する予定ですが、その画題には地元龍ケ崎市に現存する明治時代からの商家を採り上げました。建物自体は華美なところはなく普通の古い木造ですが、静まり返った寂しい商店街の佇まいと合わせて、美しいと思いました。

小さな雀をガラスの粉を乗せることで表現しています

商家の前には雀が群がって、少しだけ動きを表現しています。

非現実的な虹色で彩色しています

非現実的な虹色で彩色しています

グリザイユで細く輪郭線を入れ、これも焼成しています。輪郭を描くことでステンドグラスのような効果も出ます。ですので、この絵画技法を「無鉛ステンドグラス」と呼んでいます。

2023年展覧会向けフュージング画の制作

毎年うしく現代美術展にはフュージング画(無鉛ステンドグラス)を1点出品しています。いつもぎりぎりまで方針が定まらず、切羽詰まって制作に入る感じです。ことしも、ようやくデザインが決まり、ガラスの加工に入っています。

うしく現代美術展向けのフュージング画(無鉛ステンドグラス)の制作開始

幅80cmの透明の板ガラス上にカラフルなガラスフリットを載せ、専用の電気釜で焼成します。何回も何回も、様子を見ながらフリットを重ね焼成していきますので、材料代も電気代もかかります。展覧会後に売れれば問題ないのですけれど...

フュージング画小品3点制作

夏の展覧会(JGAAのグループ展)に向けて、小品を制作しています。横25smx縦40cmのフュージング画(無鉛ステンドグラス)パネル3種です。
図柄は、蔦、蝦夷桔梗、コスモスと秋の草花です(展覧会が秋なので)。

フュージング画の色付け。カラーフリットをスプーンで載せていきます

今回は、カラーフリット(ガラスの粒子)をベースガラス上に載せて焼成する、一種のガラス胎七宝の技法を使います。

1回目の焼成

1回目の焼成

多くのガラスが焼成前は無色なので、地味な感じですが、焼成後は鮮やかに発色します。

焼成後、赤が鮮やかに出ています

焼成後、赤が鮮やかに出ています

色乗せと焼成を3回繰り返して、深みのある色を作ります。その後、顔料で輪郭線を描き、これも低温で焼成して定着させます。

輪郭焼成後

輪郭焼成後

 

フランスからのお客様と水墨画教室

旅行でフランスから来日している方々に水墨画をお教えしました。工房にあったクリスマスローズ、カーネーション、薔薇、シンビジュームなどを題材に、お一人4枚ほど仕上げて帰られました。良い思い出とお見上げになればいいなあと思います。

初めて墨をする皆さん

初めて墨をする皆さん

フランス語は妻が通訳

フランス語は妻が通訳

筆さばきが上手いです

筆さばきが上手いです。絵画の経験があるのかもしれません。

完成品を持って記念撮影

完成品を持って記念撮影

また是非お越しください。

ペガサスと少女のステンドグラス:組み立て中

メルヘンチックなステンドグラスパネル「少女とペガサス」はガラス整形が終わり、組立工程に入っています。

まず、各ピースの切断面を包むように銅テープを巻き付けていきます。

ガラスピースに銅テープを巻き付けています

このピースを、組み立て用の台紙の上に並べていきます。この工程はジグソーパズルそのものです。

台紙の上にガラスピースを並べてていきます

台紙の上にガラスピースを並べてていきます

作品の全容が、徐々に明らかになっていきます。ワクワクします。

組み立ては、ハンダを使って銅テープの部分にロウ付けをして進めます。最初に点止めという仮ハンダをして、ピースがズレないようにします。

組み立ての最初はハンダによる点止めです。

組み立ての最初はハンダによる点止めです。

ハンダ付けは、銅テープを巻いてから数日以内に行います

ハンダ付けは、銅テープを巻いてから数日以内に行います

銅テープ巻から、ハンダ付け完了まで数日で終わらせるスピード仕事です。

ステンドグラス「ペガサスと少女」

上は完成写真です。作品の詳しい解説はグラス工房達風のサイトで御覧ください。

 

ペガサスと少女のステンドグラス:研磨中

ほぼ正方形のステンドグラスパネル「少女とペガサス」はガラスカットが終わり、周囲を研磨しています。ルーター(グラインダー)という回転砥石で、切断面をなめらかにします。

「ペガサスと少女」ガラスピースの周囲を研磨中

「ペガサスと少女」ガラスピースの周囲を研磨中

ガラスの切断面をぐるりと研磨すると、程よくザラツイた表面になり、この後の工程(銅テープ巻き)が楽になります。

研磨の終わったピースたち

研磨の終わったピースたち

 

ペガサスと少女のステンドグラス:ガラスカット中

少女とペガサスを題材にしたステンドグラスはガラスカット中です。全440ピース、細かくて大変です。

今回、緑のガラスが多く、数種類用意しています。

緑のアンティークガラス

少女のドレスは緑がかった青

少女のドレスは緑がかった青

黄緑は葉の一部です

黄緑は葉の一部です

アンティークガラスが手に入りにくく、思ったような配色にならないのですが、できるだけ達風らしいモノトーンを守りたいと思います。

切り終わったガラスはコンテナで管理します

切り終わったガラスはコンテナで管理します

翼のピースは似たような形が多いので、型紙の上に乗せて保管します

翼のピースは似たような形が多いので、型紙の上に乗せて保管します

ガラスカットはほぼ終了したので、ルーターで周囲をなめらかにしてから、銅テープを巻きます

ペガサスと少女のステンドグラス制作開始

ペガサスを題材にしたステンドグラスの制作がスタートしました。

ギリシャ神話でペガサスといえば、それを操るのはベレロポーンという男神ですが、今回は趣向を変えて少女が乗っています。これはこれで可愛らしいと思います。かつてフルートを吹いている少女が乗っていましたが、同じモチーフでは芸がないと思い変えました。

「ペガサスと少女」の型紙製作

原寸の型紙です。縦横60cm強です

原寸の型紙です。縦横60cm強です

ほぼ正方形に近い60cm超の作品です。今回はグリーン主体の配色で行く予定です。ただ、世界情勢の影響で良いガラスがなかなか手に入りにくくなっています。かつては、同じ緑でも10種類以上のラインナップがあり、微妙なグラデーションや調子付けができましたが、今手に入るのは数種類です。その分線画の面白みで魅せるしかないですね。