k.fukuta の紹介

ステンドグラスとフュージング画の注文制作工房「ステンドグラス工房達風」を主宰する福田勝司です。 写真満載のサイトはhttps://tappu.com

正方形のステンドグラス「水玉」制作開始

40cmx40cmの正方形のステンドグラスを作り始めました。お客様は洗面所の壁にはめるそうです。デザインは印象的な抽象画です。中央に大きな水滴(のようなもの)があるのが特徴でしょうか。

型紙と黄色のガラス

型紙と黄色のガラス

今回はとにかく色数が多いです。10種類近いガラスをこの画面に散りばめます。

オレンジのガラスと型紙

オレンジのガラスと型紙

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」縁描き中です

無鉛ステンドグラス(フュージング画)は文字通り鉛などの金属を使いませんので、ガラスの繋目が無い単板です。一方、伝統的なステンドグラスは、色の境目で鉛の繋目がありますが、ガラスピース1片1片は大柄で、内部に絵付けがなされています。多くが、キリスト教上の出来事が描かれています。

今回の無鉛ステンドグラスも絵付けがされます。伝統的な線描き用の黒い顔料=グリザイユを用います。細筆にこのグリザイユを水で溶いたものを浸して、花や葉の縁取りをしていきます。

ライトボックスにガラスを置いて、細筆を使って縁取りを描きます

この縁取りを定着させるために、電気窯で600℃以上に加熱して、焼成します。

焼成前の窯の中

焼成前の窯の中

縁取りが終わると、陰影付けです。これはやってもやらなくても良いのですが、陰の部分に淡くグリザイユウをつけることで、絵柄が立体的になります。これをやり過ぎると、逆にリアリティーが増して象徴絵画的な魅力が後退するので、そこそこにしておきます。

陰影付をする上で重要な「グリザイユの部分剥がし」

陰影付をする上で重要な「グリザイユの部分剥がし」作業

この陰影も焼き付けます。これが終わると完成です。

陰影の焼成前

陰影の焼成前。焼成は窯のサイズの制約で2枚ずつですが、実際は4枚全部に施しています。

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」ガラスフリットを載せています(2)

無鉛ステンドグラス(フュージング画)は4枚一組の作品で、雲仙市小浜温泉の旅館に収められる予定です。

直径30cmの作品が2枚あり、そのうち1枚は「ミヤマキリシマ」というツツジの仲間がモチーフになっています。この花は、雲仙市の花に指定されています。

ミヤマキリシマの制作。直径30cmのベースガラス上にガラスフリットをおいたところです。

ガラスフリットは、焼成される前は色が淡いです。赤い花もなんとなくぼやけています。

ハマユウの制作

ハマユウの制作。ハマユウはヒガンバナ科の白い花で、文字通り海沿いで咲きます、

一方、先行しているジャカランダとサザンカは、3回目のフリット乗せが完了し、焼成間近です。

ライトボックスの上で、3回目のフリット乗せ。

ライトボックスの上で、3回目のフリット乗せ。だいぶ濃くなってきました。

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」ガラスフリットを載せています(1)

無鉛ステンドグラス=フュージング画の制作方法は、素材の形態の違いにより2種類あります。ガラスの粉やザラメ状の粒子で絵柄を描くフリット技法と、薄板を切って乗せる薄板技法です。今回はより幻想的でなめらかなグラデーションが付けられるフリット技法で制作しています。

30cm角の作品は2個です。1個目は、雲仙市小浜温泉街の至る所で見られるジャカランダです。私も制作に当たって色々調べたのですが、ジャカランダは中南米原産のノウゼンカズラ科で、青紫の花を大量につける世界三大花木の一つだそうです。6月に花の最盛期を迎えるそうで、温泉街の名物だそうです。

ジャンカラダのフュージング画制作風景

ジャンカラダのフュージング画制作風景

ガラスフリットはザラメほどの粒度のものを使いました。カットしたベースガラスの上に下絵に合わせて、フリットの置いていきます。輪郭を正確にくっきりだすというよりは、少し広がったように分布させて、幻想的な雰囲気を出そうと思っています。ガラスフリットは40色ほど揃えていますが、花の部分だけでも4色を混色しています。

2作品目は冬を代表するサザンカです。これは、赤系のガラスフリットで花を、濃い緑で葉を描いています。

サザンカのフュージング画の制作風景

サザンカのフュージング画の制作風景

赤いガラスは、焼成前は色が薄いので、どの程度乗せるとどの程度の濃さになるかは経験に基づいて加減します。最も、このフリットを載せて焼成する工程は4回以上繰り返すので、1回では完成形にはなりません。

フリットの焼成は電気釜でまる1日

フリットの焼成は電気釜でまる1日

電気釜で焼成すると、ベースガラスにフリットが融け込んで一体化します。焼成作業は電気窯がまる1日かけて勝手にやってくれます。

無鉛ステンドグラス「雲仙の四季」制作開始

長崎市雲仙市にある旅館に設置される作品を制作しています。今回は温泉の浴室に取り付けられるということですので、鉛合金を使わない「無鉛ステンドグラス=フュージング画」でお作りすることを提案しました。湿気やイオンを含む雰囲気では鉛合金は腐食しやすいので、ステンドグラス設置は注意が必要です。

デザインは雲仙市ゆかりの四季の花です。

「雲仙の四季」原画

「雲仙の四季」原画

原画は水墨画で描いていますが、実際の作品はカラフルな原色になります。題材はミヤマキリシマ、ジャカランダ、ハマユウ、山茶花です。大きさは30cm四方の正方形と、直径30cmの円形です。

厚さ4mmのベースガラスをカット

厚さ4mmのベースガラスをカット

最初の作業は、ベースになる厚さ4mmの透明ガラスのカットです。このガラスの上に、カラフルなガラスフリット(ガラス粒)をのせて焼成していきます。

その前段階で、白のガラスパウダーを薄くのせて焼成しておきます。これによって後の絵が引き立ちます。

電気窯で、白いガラスパウダーを焼成

電気窯で、白いガラスパウダーを焼成

JGAA「夏のガラス展」始まる

日本ガラス工芸協会(JGAA)の選抜10名による「夏のガラス展」が丸善日本橋店で始まりました。私もフュージング画の大作2作を含め7点を出品しています。私以外にはバラエティーに富んだガラス工芸美術が並んでします。拭きガラス、切子、サンドブラスト、ダル・ドゥ・ヴェール、ランプワーク、キルンワークなどです。

会場:丸善日本橋店(東京都中央区日本橋2-3-10)
会期:23年7月12日~18日

日本橋はさすが日本の中心、忙しそうに人々が行き交う中に洗練された都会を文化を感じました。ウソです。日本橋、ただただ暑いです。35℃超の灼熱のビルの谷間、溶けそうです。

フライヤー1

フライヤー2

フライヤー2

入り口案内

入り口案内

丸善の担当者さんと

入り口に拙作「ミツバツツジ」

入り口に拙作「ミツバツツジ」

会期中(7月16日)、会場で懐かしい仲間との再開もありました。

夏のガラス展での再開1

夏のガラス展での再開2

夏のガラス展での再開3

オーダーメイドステンドグラス「受胎告知」はオパック処理中

「受胎告知」のステンドグラスでは、マリア様と天使が一応実態のあるモチーフとなり、その他が光や雲で、実態のないものになります。実態のあるものにはガラスの裏面にオパック処理を施し、見た目に浮き出てくるようにします。

マリア様の体のピースはオパック処理をします

オパック処理は半透明処理で、顔料を窯で焼き付けます。

電気釜で焼成します

電気釜で焼成します

カットしたピースにオパック処理を施した後、黒グリザイユで表からシェード処理をします。これは陰影で立体感を出すものです。多くのステンドグラスではこの処理をしませんが、このシリーズでは陰影を付けているので、同様に施しました。

焼成の終わったピースにはコパーテープを巻いていきます。

縁にぐるりとコパーテープを巻いたピースたち

縁にぐるりとコパーテープを巻いたピースたち

プードルのミニステンドグラス・サンキャッチャー制作

最近20cmほどの小さなステンドグラスを作るようになりました。工房で犬や猫を飼っているので、その子たちをモデルにしてデザインしています。窓辺に吊るすサンキャッチャーとも言われるステンドグラスです。

先だっての柴犬に続き、今回はトイプードルです。どうしても顔の部分が細かくなってしまうので、目鼻は、黒いガラスピースをフュージングで焼き付けて配置します。

プードルの顔はフュージングで作ります

トイプードルのステンドグラス制作

トイプードルのステンドグラス制作

ガラスナギット(おはじきのようなガラス玉)や針金でデコレーションして完成です。

完成した「とことこトイプードルちゃん」

完成した「とことこトイプードルちゃん」

オーダーメイドステンドグラス「受胎告知」製作開始

中版のステンドグラスパネル「受胎告知」の制作に入っています。大きさは横45cmx縦70cmです。嬉しいリピーターさんです。以前もキリスト教に関係するパネルを2作品作らせていただき、今回は3作めです。2017年にイタリアに行ったときに実際に目にした宗教画の印象を一生懸命思い出し、原画にしました。

原画(カラー)と実物大型紙

原画(カラー)と実物大型紙

「受胎告知」は、聖母マリアに天使が受胎を伝えに来るという有名な場面です。天使は成人の場合もあれば幼い子供の場合もあります。古い絵では概ね成人ですが、ギリシャ神話のキューピットの影響を受けた絵では、可愛い子どもになっていたりします。受胎の象徴は白百合です。

空色のアンティークガラス

空色のアンティークガラス

ストックしてあるガラスからカットに入っています。ここ2年ほどガラスの入手が困難で、工房のストックが貴重です。

天使の体のパーツ

天使の体のパーツ

しばらくカットが続きます。

VOXY 70系のフロントバンパー DIYで修理

愛車トヨタVOXY(ボクシー70系)のフロントバンパーを道路の敷石に当てて、割ってしまいました。走行距離20万km、15年のオンボロ車なので、そのままでもいいかなあと思いましたが、ヒマなのでDIYで直すことにしました。総費用4,500円。備忘録を兼ねて修理過程を記します。例よって修理ノウハウはYouTubeで事前に仕入れました。

VOXYのフロントバンパーが一部(フォグランプ近く)が割れてしまっています

VOXYのフロントバンパーが一部(フォグランプ近く)が割れてしまっています

まず、バンパーを外します。固定箇所は大きく分けてボンネット内、タイヤハウス内、底の3箇所です。それぞれ数個ずつの六角ネジ(10番)とスナップピンが使われています。

ボンネットを開けて一番手前にある、バンパーを固定しているネジ

ボンネットを開けて一番手前にある、バンパーを固定しているネジ

ボンネット内中央部のスナップピン。経年劣化が激しく、乱暴に扱うと簡単に折れそう。

ボンネット内中央部のスナップピン。経年劣化が激しく、乱暴に扱うと簡単に折れそう。

タイヤハウス内のネジ(上)とすでに紛失しているスナップピン

タイヤハウス内のネジ(上)とすでに紛失しているスナップピン(下)

バンパー底部のネジ。年をとるとかがんで作業するのが億劫。

バンパー底部のネジ。年をとるとかがんで作業するのが億劫。

バンパーにはフォグランプがついているので、そのワイヤーハーネスのプラグも外します。上1箇所、左右3箇所ずつ外しました。プラグはプラスチック製で経年劣化で破損しやすいので、無理に引っ張らず、どこを押すと爪の引っ掛かりが外れるのかをよく観察して外してください。

フォグランプのプラグの1個

フォグランプのプラグの1個

無事フロントバンパーが外れました

無事フロントバンパーが外れました

外したバンパーは室内に持っていき、補修作業に移ります。バンパーはプラスチック製でとても軽いです。

取り外されたVOXYのフロントバンパーです。

取り外されたVOXYのフロントバンパーです。矢印が破損箇所。マイナスドライバーでこびりついた汚れ(両面テープ跡)を除去し、ベンジンでクリーニングします。

バンパーを裏から見たところ。フォグランプは外しています。

バンパーを裏から見たところ。フォグランプは外しています。

実は、今回割れの補修と同時に、ずっと気になっていた汚れも除去することにしました。それは、以前スポイラー(前のオーナーが付けていた)を外したとき、どうしても取れなくて残っていた両面テープ跡です。この除去に1時間上かかりました。

黒っぽい線状に残っている両面テープ跡

黒っぽい線状に残っている両面テープ跡

バンパーの汚れを雑巾で取り、塗装がのりやすいように300番のサンドペーパーで表面を磨きました。ここから、FRPを使っての破れの補修です。ホームセンター(カインズ)で補修セット「99工房/FRPの大きな穴あき・ヒビ割れを埋める」とスプレー(99工房/ボディーペン・トヨタ用040スーパーホワイトⅡ)とサンドペーパーブロック320番を買ってきました。

今回使った補修セットは99工房の「FRPの大きな穴あき・ヒビ割れを埋める」です。近くのカインズで約3,000円でした。

今回使った補修セットは99工房の「FRPの大きな穴あき・ヒビ割れを埋める」です。近くのカインズで約3,000円でした。(梱包は写っていません)

FRPというガラス繊維を入れた樹脂でバンパーをつなぐのですが、その前に表側から養生テープを貼り、横からは寄木(矢印)とクランプも使い、割れ部分をピッタリ固定しました。

表側から養生テープを貼り、横からは寄木(矢印)とクランプも使い、割れ部分を固定しました。

表側から養生テープを貼り、横からは寄木(矢印)とクランプも使い、割れ部分を固定しました。

この後は補修セットの説明書に従うのですが、ガラスマットの切断→樹脂の調合→樹脂にマットを浸して→バンパー裏側に貼り付ける→2枚目のマットも貼る、という感じです。樹脂は2液硬化型で、エポキシ樹脂のような気がします(説明書には書いていません)。

ガラス繊維のマットを割れの寸法に合わせて切り、2枚用意します。

ガラス繊維のマットを割れの寸法に合わせて切り、2枚用意します。

ガラスマットの寸法の確認

ガラスマットの寸法の確認。ガラスマットは手に刺さるので、手袋必須。

樹脂を調合します。まず主剤70ccを補修セット付属のトレイに入れ。

樹脂を調合します。まず主剤70ccを補修セット付属のトレイに入れ。

硬化剤をスポイトの30滴ほど落とし、よく混ぜる。

硬化剤をスポイトの30滴ほど落とし、よく混ぜる。

調合した樹脂を付属のヘラで亀裂内部と周囲に塗ります。樹脂の硬化速度は思ったより早いので、全作業は5分以内くらいで終わらせてください。

調合した樹脂を付属のヘラで亀裂内部と周囲に塗ります。樹脂の硬化速度は思ったより早いので、全作業は5分以内くらいで終わらせてください。

樹脂のトレイにガラスマットを浸し、十分染み込ませてから...

樹脂のトレイにガラスマットを浸し、十分染み込ませてから...

亀裂を覆うように貼り付けます。

亀裂を覆うように貼り付けます。

2枚重ねで貼り付けた後です。樹脂は透明ですので、塗っていないように見えます。

2枚重ねで貼り付けた後です。樹脂は透明ですので、写真では塗っていないように見えます。

さて、調合して10分ほどで、ヘラですくえないほどに硬化しましたので、ここまで5分以内に手際よくやってください。樹脂の完全硬化時間は室温20度で、1時間程度でした。

次に表から亀裂にパテを充填します。パテもこのセットで作ります。余った同じ樹脂に白いパウダー(成分不明)を混ぜて、パテを作ります。

補修セットの白いパウダーと樹脂の主剤、硬化剤を混ぜてパテを作ります。

補修セットの白いパウダーと樹脂の主剤、硬化剤を混ぜてパテを作ります。パウダーの量が説明書からはいまいち読み取れなかったので適当です。パウダー袋の半分ほどに対し、主剤40cc、硬化剤25滴です。

表からパテを亀裂に充填します。

表からパテを亀裂に充填します。どうしても合わせ目に段差ができてしまうので、周囲にも多めに盛って、あとから削って慣らすことにします。

約1時間後に硬化したら、サンドペーパーで磨き上げます。最初から320番で磨きました。

約1時間後に硬化したら、サンドペーパーで磨き上げます。最初から320番で磨きました。段差も目立たないスロープ状になるように磨きます。

磨き終わり。

磨き終わり。パテは透明なので、この時点では割れは目立っています。

パテ詰めが終わったら、屋外に持ち出して塗装です。スプレーは99工房のボディーペン・トヨタ用040スーパーホワイトⅡです。VOXY用と書いてあったので買ってきましたが、結果的にうちのVOXYとは少し異なる鮮やかなホワイトでした。うちのはオフホワイトぽかったことが塗装後に判明しました。

スプレーペイントでバンパーを塗装します。コツとしてはいっぺんに厚塗しようとしないで、10回重ね塗りして仕上げるくらいちょっとずつ塗ります。

スプレーペイントでバンパーを塗装します。コツとしてはいっぺんに厚塗しようとしないで、10回重ね塗りして仕上げるくらいちょっとずつ塗ります。

両面テープを剥がしたあとの部分も、サンドペーパーを掛けたので、塗装します。

両面テープを剥がしたあとの部分も、サンドペーパーを掛けたので、塗装します。

割れ部分(フォグランプ孔の下)の塗装完了

割れ部分(フォグランプ孔の下)の塗装完了

外してあったフォグランプとグリルをバンパーに取り付けます。

外してあったフォグランプとグリルをバンパーに

バンパーを車体に取り付けては無事作業終了。

バンパーを車体に取り付けては無事作業終了。

前作業は6時間でした。楽しかった。