ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その23)」 「器用貧乏」

『器用貧乏』を国語辞典で調べると、【器用なので、一つのことに集中出来ず、かえって、大成できないこと(人)】とあります。私は自分を、典型的な器用貧乏だと思っています。

幼い頃から色々なことにすぐ興味を持ち、即始めるのですが、すこし出来るようになると、(ああ、このまま続けていけば、いずれ完全にモノにできるな)と思いはじめるのです。一つ事を会得するのに、中間地点の壁を突破するのが難しいことは知っています。だからか、持続する根気はありません。また自分で言うのもなんですが器用な方なので、ある程度形になるまでが結構速いのです。これも災いしています。飽きるのも速く、他の事に興味が移ってしまうのです。

半生を振り返り例を挙げてみると、油絵、アクリル画、書画、卓球、スキー、園芸、飼育、ステレオ作り、パソコン、機械いじり、木工、バイオリン、ギター、料理、他沢山です。最近は野菜作りに夢中です。分野としては、手先を使うものが多いです。他人が楽しそうにやっていることの「楽しさ」の一端を知ることが出来れば、それで満足です。

新しい電気製品や雑貨を目にしたり、美味しい料理に出会うと、(どうやって作るんだろう)と最初に思います。先だっても、妻の実家の前橋で、名物「焼き饅頭」を初体験した瞬間、これを自分でも作ってみたくなりました。小麦粉とイーストに、茨城の蕎麦粉を独自にブレンドして、数回試作しました。(これは「龍ヶ崎饅頭」と銘打って売れるぞ!もしうちでカフェを開いたら、目玉商品にしよう)と納得のいく出来を確認したとたん、急速に熱が冷めました。

私の器用貧乏の遺伝子は、明らかに母方の祖父から来ています。祖父は一介のサラリーマンでしたが、広大な庭で数百鉢のサツキを仕立て、畑を作り、果樹を育て、大きな小屋で世界中の珍しい鳥を飼っていました。定年後はさらに、アマチュア考古学者として埋蔵文化財の発掘をして同人誌を編集し、古文書研究、謡い、大工、高校の理科の非常勤講師などマルチにこなしていました。ある日、近くの池でフナを釣ろうという話になったとき、飼っていた銀鶏の尾羽根を細工して、ウキをこしらえたのにはびっくりしました。必要なものは自作から始まり、ダメなら廃品を修理し、どうしても上手く行かなかったら初めて「仕方ない買いに行くか」となる人でした。

器用貧乏には良いところも有ります。初対面の人と話すとき、話題を見つけやすい点です。そのものズバリの共通点が無くても、周辺知識を動員して十分くらいは会話ができます。それ以上続くとボロが出ますが。

「ある程度形になるまでが速い」と書きましたが、例外も有ります。ゴルフとステンドグラスです。ゴルフはプロにも教わりましたが、一年で諦めました。後者は、死ぬまで模索が続くでしょう。

ステンド作家になることを決意したころの初期の作品「ツタ」

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