絵付けステンドグラス「光の階段」は、ガラスカット開始

今回使うステンドグラス用板ガラスの種類は12種類です。そのうち8種類は、問屋に発注しました。一応、弊房はカンバン方式を採っていまして、材料は受注ごとにジャスト・オン・タイムで必要量を仕入れます。でないと、工房が資材の在庫で満杯になってしまいます。

ステンドグラス制作のメイン工程は、このガラスカットと絵付けでしょう。数百ピースあるので、しばらくカットの日々が続きます。

仕入れた無垢のアンティークガラスは美しい

仕入れた無垢のアンティークガラスは美しい

ガラスが届きましたが、切るのがもったいないほどきれいです。

窓辺に並べて、色バランスのチェック

窓辺に並べて、色バランスのチェック

ガラスの色と、メーカー、品番は、デザイン段階で、頭の中で決めます。ですが、板ガラスの現物が届いたら、一応窓辺に並べて、バランスをチェックします。ガラスは品番が同じでも、厚さや色味にばらつきがあります。折角仕入れても、極端に暗いものは使いません。

タンポポの花は、サンゴバン社のセレニウム・イエロー

タンポポの花は、サンゴバン社のセレニウム・イエロー

一枚一枚、切り出します。

一枚一枚、切り出します。

フランスはサンゴバン社のアンティークガラス、その中でも特に高価なセレニウム・シリーズを使います。

緑はドイツのランバーツ社

緑はドイツのランバーツ社

ランバーツ社のアンティークガラスは、切りやすく、カラーバリエーションも豊富で大好きです。ちなみに、アンティークガラスとは、アンティーク(伝統的)な宙吹き技法で作った、真新しいステンドグラス用ガラスの事です。決して、古くはありません。

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絵付けステンドグラス「光の階段」は、型紙制作中です

横1.2m×縦0.9mのかなり大きなステンドグラス「光の階段」の制作が始まりました。

デザインも決まり、型紙を制作しています。

原画を元に、型紙のデザイン中

原画を元に、型紙のデザイン中

原画は、ある程度自由な感覚で、スケッチブックに描きます。ですが、型紙のデザインとなりますと、ガラスを切るという制約があるので、「設計」に近い感覚で描きます。

また今回は、ハンダ線とグリザイユの描き込みと言う2通りの輪郭表現が出来ますので、その分自由度があり、デザインが楽です。

原寸大型紙

A2版のオリジナル型紙を、拡大コピーして、原寸大型紙を作ります

原寸大型紙は、コンビニコピーの貼り合わせで作ります。これを2枚作ります。

1枚の型紙は切り刻んで、ガラスカット用とします。

1枚の型紙は切り刻んで、ガラスカット用とします。

ガラスの種類ごとに分類します

ガラスの種類ごとに小分けします

次に、ガラスカットですが、必要面積を計測して、今、問屋に発注しています。

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メルヘンチックなステンドグラスの原画を描いています

久しぶりに和風ではないステンドグラスのデザインです。可愛い姉妹を中心にした、夢の世界を描いています。モデルは身近にいるので、色々なポーズをさせてスケッチして、楽しんでいます。

おとめ座

おとめ座

 

天使の階段

天使の階段

光の階段

光の階段

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ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その21)」 「倹約紀行(二)」

前号から、平成19年のヨーロッパ旅行の様子を書かせてもらっています。フランス滞在3日目は、パリからTGVという新幹線で西へ、レンヌというブルターニュ地方最大の都市へ向いました。ここでは、ムッシュ・エルムボルドというステンドグラス作家のアトリエを訪問しました。氏とは面識があったわけではなく、出発前にホームページで知り、その作風に惹かれてアポイントを取っていました。
午後3時、有り難い事に見ず知らずの日本人のために、氏自ら車で駅まで迎えに来てくれました。アトリエは広大で、作業別にいくつもの部屋に分かれており、20名ほどのスタッフが作業していました。驚いたことに、鈴木さんという若い日本人男性もいました。彼は”流し”のステンド修復師だそうで、古い教会のステンドを修復しながら、フランスのアトリエを転々としているそうです。たくましい日本人もいたものです。
エルムボルド氏は、ステンド工房、フュージング工房、溶接場、倉庫、私設ギャラリー、書斎等々、我々に全ての部屋を案内してくれて、尋ねること全てに答えてくれました。特に、板ガラスを融かしてカラフルなパネルを作る「フュージング」という技術に関しては、とても熱心に説明してくれて、最新鋭の畳二枚ほどもある大きな電気窯を見せてくれました(蛇足ですが私はこれに惹かれ、帰国後、構造を思い出しながら半分ほどの大きさの窯を自作しました)。私が矢継ぎ早に質問し、妻が汗をかきながらせっせと通訳してくれましたが、このときほど妻が頼もしく見えたことは有りません。
一通り説明が終わり、隣接する氏の自宅に招かれ、娘さんや近所の子供も加わり、ジュースをご馳走になりました。庭には馬が遊ぶ大きな池と、プールが有り、ステンドグラス作家も成功するとこうなんだア、と感心しました。彼の目下の悩みは、教会からの修復の依頼が多すぎて、創造的な仕事をする時間が無いことと、池に大発生した緑の藻が目障りだ、ということだそうです。
お礼に日本から持参した自作水墨画の掛け軸を1本プレゼントして、夕方アトリエを辞しました。氏も多くのフランス人と共通してジャポニズム(日本文化趣味)のようで、この軸はたいそう喜ばれました。ちなみに軸は、友人宅に泊めてもらう時の安上がりな宿泊料として、渡航の時は必ず数本描いて持って行きます。
レンヌの名物は、蕎麦粉のクレープ「ガレット」とリンゴの発泡酒「シードル」。夕食にこれらを食し、殺風景なユースホステルに泊まりました。(続く)

少年のような仕草のエルムボルド氏と

少年のような仕草のエルムボルド氏と

エルムボルド氏の前衛的なフュージング作品

エルムボルド氏の前衛的なフュージング作品

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