ステンドグラス制作者の「ぎやまん草子(その10)」 「奇遇」

思いがけないところで、思いがけない人に出会う。ちょっと怖くなるような偶然を経験したことありますよね。

私の奇遇ベスト3。その3は、学生の時、上信越のスキー場で2人乗りリフトに乗り合わせた見ず知らずの隣の人。よくよく見たら、一緒に来ていたわけではないクラブの同輩。「なんでお前ココにいるの?」「お前こそ何でいるんだよ!」。

ベスト2は、オーストラリアに行く飛行機に、小学生の時の友人が乗っており、ゴールドコーストで一緒にカジノに行く。そして堂々ベスト1は、これからお話しすることです。

数年前、インターネットで私を知った東京のTさん(初対面)が、ステンドグラスの依頼のために工房に来られ、ひとしきり打ち合わせをした後です。話題は、私が制作の傍ら、地元の神社(千勝神社)で世話人をしている、という話に移りました。先方も適当に相づちを打って私の話しを聞いていました。

そして矢庭に「ちょっと待って下さいよ。福田さんと同じようなことを言っていた人を知っていますよ。確か山陰の出身で…あっ、思い出した。お茶席だ。何回かご一緒したなあ。若いのに正座が強くて。そうそうあなたのように背が高くて、皆からノッポちゃんて呼ばれていた。」

平成八年に亡くなられた権禰宜のKさんのことでした。優しかったKさんの思い出がよみがえり、「いや懐かしいね」と言いながら、それぞれが知るKさんについて、しばし語り合いました。Kさんは忙しい茨城県の神社務めの合間に、東京に出て行って茶道の会などに参加し、千勝神社を広めていたのですね。

このTさんとの出会い。東京都の人口や、私達が1年に知り合う都民の数などを仮定してざっと計算すると、二千五百年に一度の出会い、ということになりました。

Tさんにお納めした「ざくろ」、サイズ:50×120cm×2枚

Tさんにお納めした「ざくろ」、サイズ:50×120cm×2枚

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