重要文化財の校舎を見てきました

 国指定重要文化財の旧茨城県立土浦中学校(現土浦一高)本館を見学してきました。

 明治37年竣工の数少ない木造洋風建築で、昭和51年、旧中学校校舎としては全国初で重文指定されたそうです。日にち指定で一般公開しています。
 設計者は駒杵勤治。ゴシック様式が基調で、アカンサスという植物を図案化した装飾が、玄関正面三連アーチの柱頭部を飾っています。

 窓ガラスは、恐らく現在のフロートガラス以前の技法で作られたガラスで、ランダムなライン模様が美しく、またガラス越しの景色がゆがんで見えました。ステンドグラス用ガラスと同じ宙吹き円筒法か、垂直引き上げ法の板ガラスと推測します。
 また、古いガラスを残すためか、落書き(落引っかき傷)も、随所に残っていました。「土」という字が多かったのが、面白かったです。
 話はそれますが、ヨーロッパの古城の多くが、窓の修復時も、昔と同じ宙吹きガラスを使います。その製造の多くを引き受けているのがフランスはサンゴバン社のサンジェスト工場。私はここに見学に行き、案内の人に話を聞いたのですが、城ごとにガラスの組成が違うので、それを分析して、各城の古来の板ガラスを再現するそうです。サンゴバンという会社は日本で言うと旭硝子のようなハイテク・巨大企業ですので、分析はお手の物です。ですが、サンジェスト工場は例外的に、職人が鉄の竿を操って、吹きガラスを作っています。ハイテクと手作りの両立が面白かったです。

 この校舎は、NHKの朝ドラ「おひさま」(2011年4~9月)のロケに使われました。主人公 須藤陽子(井上真央)が通う安曇野高等学校という設定でした。私も見ていましたが、放送当時は気がつきませんでした。
 復元された勉強机はとても小さく、座ってみて窮屈でした。また、机と椅子がある距離で固定されていて、座ってから椅子を引くことができません。授業中は、ガタガタいわず静かだったでしょうね。

 校舎内は博物館のようになっていて、さまざまな古い資料が展示されています。この部屋には、戦前・戦後の古い理科の教材が展示してありました。機械工学科出身の私には、ほとんどが見覚えのあるもので、アナログコンピュータやホイートストンブリッジなど、実際に使ったことの有る装置にも再会できました。また、高校時代、昼休み学校近くの電気屋に通って、店頭でいじっていたMZ-80Bというシャープの8bitパソコンもあり、とても懐かしかったです。

 実は、この高校の文化祭の日でもあり、高校生時代に戻って校舎を廻ってきました。模擬店と怪しげな食べ物、安いゲーム、少年少女の呼び込みの声、軽音の演奏。私らのころとほとんど変わりません。とても懐かしかったです。楽しくて自由だった高校生時代を思い出しました。

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