女神「アテナとニケ」:女神に絵付け

 途中、霊廟のダル・ド・ヴェールや、石楠花のパネルなど、短納期の仕事を挟みつつ、「アテナとニケ」の制作も続いています。
 カットが9割がた終わり、アテナとニケのボディーに陰影の絵付けを始めました。あまりごてごてと描き込む気は無いのですが、少しは立体感を出さないと、作品に凄みが生まれません。ライトボックスの上で、グリザイユを塗っては剥がし、塗っては剥がしし、納得のいく陰影が出るまで、根気よく作用を続けます。巧く塗れたら、電機窯で焼き付けます。


さて、この作品にこめたストリーを紹介させていただきます。
副題は「ニケを送り出すアテナ」です。
 アテナは、ゼウスの最愛の子供にして、最も強く、最も人気のある女神です。その守護地アテネはギリシア共和国の首都です。アテネのアクロポリスにそびえ彼女を祀るパルテノン神殿は、ドリア式建築の最高傑作といわれています。
 女神アテナは文武両道。戦場では槍を手に駆け巡り、館にあっては乙女らしい慎ましさで機を織ります。
 彼女の役目の一つは英雄たちの守護神となってかれらを助けてやることです。
 一方、ニケは勝利の女神です。ルーヴルの至宝「サモトラケのニケ」が有名で、スポーツブランド「NIKE」の名の由来にもなっています。オリンピックのメダルのデザインなどにも描かれています。
 知と戦の女神であるアテナと親しく結びつき、この偉大な処女神の随神と見なされるようにもなりました。特にアテネの人々は彼らの守護女神とともにニケを熱心に崇め、アクロポリスに優美な小神殿を建てて崇拝しました。そんなニケのトレードマークは、翼と月桂冠です。
 この作品では、まさにアテナの指示で、勝者となるべき英雄の元に降り立ち、勝利を授けようとする瞬間を描いています。ただ、神と人間の混血である英雄の目には、これら女神の姿は見えないのです。

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